散歩に行かねぇか?』
大雨洪水警報が出てる時、
それも夜中にこんなことをけしかけるバカな兄が俺です。
「…なんで?」
煙草を咥えながら怪訝な表情で聞き返してくる弟。
まぁ普通の人間ならその反応になるだろうよ。
『いや、
雨強ぇしなんとなく』
感覚に従うことは思ってる以上に重要なことが多いので、
素直にそれを伝える俺。
直感に語りかけてくる何かには、
思いもよらぬ報酬が待ってたりするもんよ。
「…兄者、
傘は?」
『え、
そりゃ持ってくけども』
「 い ら ね ぇ だ ろ 」
似てるのか俺よりバカなのか、
傘も持たずに大雨の中散歩に付き合ってくれる素敵な弟がいた。
『お前びしょ濡れじゃねぇか(写メ撮らせておいて)』
「ここまで降ってると気持ちいいぞ」
『マジで?
じゃあ少し待ってろ』
「傘は?」
『置いてきた』
「それは?」
『模造刀』
「通報されんぞwww」
雨の中刀を振ったことはなかったが、
刃についた水滴が美しいことを知ってしまう。
『なぁ、
ついでに神社行かねぇか?』
「よし行くか」
雨の深夜に傘も差さず徘徊してた男二人のバカな兄弟の話し。